【債権法改正メモ】557条1項の改正

改正点:

  • 自ら履行に着手した場合であっても,相手方が履行に着手するまでは民557条1項に基づく解除権を行使することができる旨が明文化された(557条1項ただし書参照)。
  • 手付を理由とする解除権を行使するために売主は手付金の倍額を現実に提供しなければならない旨が明文化された(557条1項本文参照)

【現】

(手付け)

1 買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。

2 第五百四十五条第三項の規定は、前項の場合には、適用しない。

【新】

(手付)

1 買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。

2 第五百四十五条第四項の規定は、前項の場合には、適用しない。

【関連情報】

【債権法改正メモ】(現)522条の削除

改正点:

【現】

(承諾の通知の延着)

第五百二十二条 前条第一項の申込みに対する承諾の通知が同項の期間の経過後に到達した場合であっても、通常の場合にはその期間内に到達すべき時に発送したものであることを知ることができるときは、申込者は、遅滞なく、相手方に対してその延着の通知を発しなければならない。ただし、その到達前に遅延の通知を発したときは、この限りでない。

【新】

(契約の成立と方式)

第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。

2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

【関連情報】

隔地者間の契約の成立時期に関する(現)526条1項(承諾の意思表示の効力発生時期に関する発信主義を採用)が削除されたことによって承諾の意思表示の効力発生時期についても民97条1項が適用される。

したがって,(現)524条が想定していたような状況(承諾が発信され(現)526条1項に基づき契約が成立したが,これが承諾期間内に申込者の元に到達しなかったために(現)526条2項に基づき申込みの意思表示が効力を失うという状況)は起こらないことから,(現)522条が削除された。

【債権法改正メモ】諾成契約を原則とする旨の規定を新設・方式の自由の原則を明文化

改正点:

  • 522条1項に,諾成契約を原則とする旨の規定を新設
  • 522条2項に,方式の自由の原則を明文化する規定を新設

【現】

規定なし

(現522条は「承諾の通知の延着」について規定)

【新】

(契約の成立と方式)

第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。

2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

【関連情報】

現522条は削除された。

【債権法改正メモ】契約の締結及び内容の自由を明文化

改正点:

契約の締結及び内容の自由を明文化する規定を521条に新設

【現】

規定なし

(現521条は承諾期間の定めのある申込みについて規定)

【新】

(契約の締結及び内容の自由)

第五百二十一条 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。

2 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。

【関連情報】

現521条は,新523条に移動

【債権法改正メモ】521条の改正

改正点:

  • (現)521条に規定されていた内容が(改)523条に規定された。
  • (現)521条1項の文言が一部修正された。
  • (改)523条1項ただし書が追加された。

【現】

(承諾の期間の定めのある申込み)

第五百二十一条 承諾の期間を定めてした契約の申込みは、撤回することができない。

2 申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。

【新】

(承諾の期間の定めのある申込み)

第五百二十三条 承諾の期間を定めてした申込みは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない

2 申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。